借地権に関する法人税の処理

借地権を購入した場合は「資産」として計上する

借地権を法人が購入した場合において、最初に借地権を設定したときは権利金を、すでに設定された借地権を借地権の所有者である借地権者から買い取るときは買取金を支払う必要があります。

 

権利金や買取金として支払った金額は費用ではなく、土地等と同様に「資産」として計上します。これは、「権利」という資産を購入したと取扱われるため、勘定科目はそのまま「借地権」となります。

 

また、土地と同様に減価償却により費用として処理されることもありません。これは、土地や権利は時の経過によって価値が減るという考え方ではないからです。

 

計上する際の金額は、原則として実際に支払った金額になります。

 

しかし、時価に比べて権利金や買取金の支払額が低い場合、もしくは一切支払わない場合には、相手から「経済的利益の供与」を受けたものとして、その時価と支払額の差額を利益として計上する必要があります。その結果、資産へ計上する借地権の金額は「支払った金額+経済的利益の額」となります。

 

なお、借地権における「適正価格」とは、土地の時価に路線価図に記載されている借地権割合を乗じて算出したり、周辺の取引事例から割り出したりするものとされています。細かく金額が定められているわけではなく、許容される範囲内に収まっていれば問題はありません。

 

また、例えば隣が墓地であることや、高圧線による障害があるなどの理由により土地の時価が下がれば借地権の時価も下がります。

権利金の代わりに「相当の地代」を支払う方法もある

権利金を支払わない場合でも、「相当の地代」を支払う場合には、「経済的利益の供与」を受けたものとはされず、借地権の時価に相当する権利金を支払った場合と同様に正常な取引条件で行われたものとされます。

 

この場合の「相当の地代」は、法人税法基本通達によって定められた以下の3つの方法によって計算された年額のいずれか、もしくはその範囲内にあたるものとされています。

 

  • 更地としての通常の取引価格額(時価)の6%
  • 近傍類地の公示価格・都道府県の基準地の標準価格から合理的に算定した更地価格額の6%
  • 相続税路線価から計算した自用地価格額の過去3年間の平均価格額の6%

①、②はどちらも更地価格額を基準に考えられているため、その額にほとんど差はありません。一般的に路線価は公示価格の80%なので、その分③は他の2つに比べ安価となります。

 

更地価格額の6%を年額で支払う場合、16〜17年程度で支払い地代が更地価格額を超える計算になりますので、①、②を選ぶことは少なく、③に近い金額で設定されることが多いようです。

 

なお、借地権購入後に支払う地代は、相当の地代に関わらず全て「費用」として計上します。

借地権によって得た金額は「収益」に計上する

法人が所有する土地に借地権を設定した場合は、それによって得た権利金は「収益」という扱いになります。この収益の額も、原則として実際に収受した金額になります。借地権設定後に受取る地代も、同様に「収益」となります。

 

また、法人がすでに所有している借地権を別の法人に売却した場合には、土地の転売と同様に、自分がその借地権を取得した際の権利金や買取金と、売却した際の金額の差額損益として計上する必要があります。

受け取った金額にだけ課税されるとは限らない

借地権の設定により受取る権利金の額が時価に比べて低い場合、もしくは受取らない場合に、税務上はまず時価で受取り、相手に時価と受け取る権利金の額との差額を支払ったものとして取り扱います。つまり、時価を収益に計上し、その差額は費用として計上することになります。

 

税金計算において、費用はその費目・内容に応じて費用計上の限度額が定められています。そのため、費用の額が限度額を超えてしまうと超えた部分は「費用にならない=課税される」ことになります。

 

まず、借地権者が取引先であればその差額は「交際費」に該当します。交際費は中小企業(資本金1億円以下の会社など)であれば限度額は原則年800万円まで認められています。

 

次に借地権者が利害関係のない第三者であればその差額は「寄附金」に該当します。寄附金は相手先に応じて区分され限度額が定められています。相手が国や地方公共団体などであれば全額が費用として認められています。

 

しかし、相手が一般企業などであれば限度額は税務上の利益と資本金の合計額の1%未満と非常に少ない金額となっております。利益が出ていなければほぼ費用にはなりませんので、地主である法人はお金を受取っていないのに税金は支払わなければならないことになります。

 

最後に借地権者が自社の役員や従業員の場合には、その差額は「給与(賞与)」に該当します。従業員に対する賞与は全額が費用になりますが、役員に対する賞与は原則として全額が費用になりません。さらに受け取る側(役員・従業員側)は収入になりますので、所得税や住民税が課税されます。つまり、借地権者が役員だった場合には、その差額について会社は法人税等が課税され、役員個人は所得税等が課税される二重課税となってしまいます。これは避けたいところです。

 

また、借地権者との関係性に関わらず、借地権の設定によって土地の時価が、借地権の設定前に比べて50%以上下落した場合は、「借地権設定直前の土地の簿価×借地権の価額÷借地権設定直前の土地の時価」という算式により計算した金額を「譲渡原価」として費用に計上することになります。

 

借地権を返還する場合

借地権者が借地権を地主に返還する際、相手から買ったものを返すだけではありますが、その借地権は経済的価値をもっていますので、地主側は返還を受ける際の時価で「買い戻す」必要があります。

 

そのため、金銭の収受なく無償で返還した場合は、借地権者地主に対して「借地権を贈与した」ことになります。

 

その際、地主は借地権の時価の分だけ「収益」があったものとして課税されます。借地権者側も、贈与した金額に応じて寄附等の課税がされる場合があります。

 

しかしこれに関しては、借地契約の締結時に、その契約書に借地を無償で返還することや、その土地の使用が使用貸借契約によるものであることを記載していれば課税されません。

 

この契約締結後遅滞なく「土地の無償返還に関する届出書」を税務署長へ提出する必要がありますので注意が必要です。

 

その他、借地上の建物が仮店舗などの簡易な建物である場合や借地上の建物の老朽化などにより借地権が消滅した場合なども課税対象外となります。

 

借りている側が「権利を返した」というよりも、「権利を維持できない」際の事情が考慮されます。

 

なお、定期借地契約の場合には契約の満了も無償返還の事由に値しますが、普通借地権の場合には更新が可能とされているため、無償返還を行う場合には課税対象となります。

 

 

 

 

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