【事例】相続する借地上の建物が未登記である場合、どのような問題があるか?

借地権者からのご相談

借地と1950年頃に建築された木造建物を亡親から相続することになりました。

ところが確認したところ建物が登記されていないことがわかりました。

私は借地権を相続したといえるのでしょうか?

今後どのように手続きをしていったらよいでしょうか? 

どのようなことに注意したらよいですか?

 

相続の登記をしようとしたら、その建物自体が未登記だったということです。びっくりしますよね。権利は守られるのでしょうか?

 

それでは結論からお伝えしてまいります。

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.原則として、建物登記がなくとも、地主と土地賃借人の関係においては

 借地権を主張できます。

2.第三者との関係も考え、今からでも建物の登記はしましょう。

3.建物登記がないうちに地主が第三者に土地を譲渡してしまうと、

 土地賃借人は新所有者に借地権を主張することはできません。

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目に補足する形で説明してまいります。

 

解説「1. 原則として、建物登記がなくとも、地主と土地賃借人の関係においては借地権を主張できます。」

 登記の目的の一つは、第三者への対抗(権利を主張すること)要件を持つことです。この借地権が地上権ならその旨の登記があるでしょうが、今日のほとんどの借地権は土地賃借権です。さらに、賃借権の登記に地主が同意することはまれでしょう。そこで土地賃借人が借地上の建物の登記をすれば第三者に自身の借地権を主張することができることになっています。しかし、地主と土地賃借人(この場合はその相続人も含みます)との関係は第三者ではなく互いに当事者です。ですから、この土地賃借権者の方が地主に対して借地権を主張するのには登記をすること自体が不要なのです。

 

解説「2. 第三者との関係も考え、今からでも建物の登記はしましょう。」

 

 建物の登記がなされている場合には、相続人としてはその建物所有権の相続登記を行えばよいことになります。しかし今回の事例では、そもそも建物登記がされていなかったとのことですので、建物表題登記から始めなければなりません。その終了後に相続人名義での所有権保存登記をすることになります。

もちろん、登記には手間も費用がかかりますがご自身の権利を守るためですから、

速やかに手続きをしましょう。上記1.の通り、借地上の所有建物を登記すれば、借地権を第三者に主張することができるのです。

 

解説「3. 建物登記がないうちに地主が第三者に土地を譲渡してしまうと、借地人は新所有者に借地権を主張することはできません。」

 今回の事例のように借地人が建物登記をしていなかった場合、万一、地主がこの状態で第三者に当該地を譲渡してしまったら、つまり、土地所有者が変わってしまったら、土地賃借人は借地権を当該新土地所有者に主張することはできません。

このケースは「地主が土地を第三者に売却した」ということで、よくあることだと思います。地主が自身の意思で譲渡した場合ということです。

また、同じように土地所有権が第三者に移動する事由として当該土地の競売も考えられます。「売却」と同様に所有権は競落人に移動しますから、建物の登記がない土地賃借人は借地権を競落人(新土地所有者)に主張することはできません。

 

ところで、たとえ建物登記をしていたとしても登記の順番の問題が発生することもあります。

たとえば、地主の所有地に設定された抵当権が実行され、競売になってしまった場合、土地賃借人が借地権を主張できるかどうかは、抵当権設定登記と建物登記の順位により、「早いものが勝つ」ことになるのです。登記に関しては、このように順番で優先順位が決まるので、不動産の権利移動がある場合には、実地での現況確認等とともに登記情報の確認を確実に行いましょう。

なお、「借地人が所有建物の登記をしていない」ことを知っていた地主が、第三者と共謀して所有権を売り渡し、新地主となった者が「建物登記をしていない借地人」に借地の明け渡しを請求するという事件が昭和40年代にありましたが、裁判の結果、さすがに権利の乱用にあたるそのような請求は許さないという判例が残っています。

 以上、似たような事例に遭遇したときには参考になさっていただくとともに、具体的事案では少しずつ事情も違うでしょうから、遠慮なくご相談ください。

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