【事例】借地権者から「借地権を買い取ってほしい」と言われましたが、どう対応すればいいでしょうか

 

地主からのご相談


「先日、借地権者から借地権(付建物)を買い取ってほしいと言われました。買い取る必要があるのかアドバイスをお願いします。」

 

借地権が設定された土地(底地)の所有者である相談者に、借地権者からその買い取りを打診されたということです。アドバイスをするために、地主である相談者がこの底地に対してどう考えているかを確認する必要があります。

 

今回も、結論からお伝えします。

 

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.買わなくていけない道理はない

2.買わない場合は、借地権が第三者へ売却される可能性が生じます

3.借地非訟になった場合は、地主の介入権を行使することができます

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目を説明して参ります。

 


解説「1.買わなくていけない道理はない」

 

相談者とお話しをしたところ、「自らが貸している土地なのに、買い取る必要があるのか疑問に思っている。」と言っておられました。

確かに、必要がなければ買い取る必要は全くありません。しかし、買い取らなかった場合、どういうことが起こりうるのかについては、考えておく必要があります。後述の解説2で説明します。

土地の賃貸借契約の期間が満了となり、地主と借地権者が合意の上で賃貸借契約を解除する場合においては、借地権者は土地を更地にして地主に無償でお返しすることになります。

借地権者が土地の返却に応じ、地主に底地が戻ってくれば良いのですが、正直そのようなケースは少ないと言えるでしょう。

借地権者は借地権の持つ価値を理解していますので、例え何らかの事情で借地権が不要になったとしても、地主や第三者へ買い取ってもらう方法を探します。

 

解説「2.買わない場合は、借地権が第三者へ売却される可能性が生じます」

 

解説1で、地主が借地権者から借地権を買い戻さなかった場合ですが、借地権者は借地権を買い取ってくれる第三者を不動産仲介会社等を通じて探します。
ただし、借地権者が借地権を第三者へ売却する場合は、地主の承諾を得る必要があります(地上権を除く)ので、勝手に知らない誰かに借地権が売却されてしまうことはありません。

 

借地権者が借地権譲渡をする際の承諾料は、標準的なケースで借地権価格の10%程度と言われています。つまり地主は、借地権者から借地権価格の10%に相当する金額の譲渡承諾料をもらうことができます。

 

ここで注意していただきたいのは、借地権を第三者への譲渡することを地主が承諾しない場合にどうなるかということです。

 

借地権を地主に買い取ってもらうことができず、なおかつ第三者へ売却することも認められないとなると、借地権者は裁判を起こす(借地非訟手続きをする)ことを検討するかもしれません。

 

裁判になった場合、裁判所は地主と借地権者双方の主張を聞いた上で、借地権譲渡の承諾についての判断をすることになります。裁判所が借地権者の主張を認めた場合は、裁判所は地主に代わって借地権譲渡の承諾を出すことができます。

 

裁判所が借地権譲渡の許諾をする判断は、借地借家法第19条(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)第1項を根拠にします。その条文は「借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得し、又は転借をしても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。(後略)」と示されている通り、地主にとって譲渡が不利になる特段の事情がない限りは、裁判所は譲渡の承諾を出すことになるでしょう。

 

また、地主に代わる許諾とセットで、裁判所は譲渡の承諾料として借地権価格の10%程度に相当する額の支払いを譲渡許可の条件にすることが一般的です。

 

しかし、借地権者から提示された金額等の条件では購入を見送った地主も、金額次第では買い取りを検討できるかもしれません。また、見ず知らずの第三者に借地権が譲渡されることについても、多少のリスクを感じることでしょう。

 

このような状況においては、地主は介入権という権利を行使することができ、使い方次第では有用ですので覚えておくと便利です。後述の解説3で説明します。

 


解説「3.借地非訟になった場合は、地主の介入権を行使することができます」

 

借地非訟により借地権の譲渡許諾を求められた場合、地主は介入権を行使することで、第三者に先んじて借地権の買い戻しをする権利(先買権)を得ることができます。

 

その根拠は、借地借家法第19条(土地の賃借権の譲渡又は転貸の許可)第3項「第1項の申立てがあった場合において、裁判所が定める期間内に借地権設定者が自ら建物の譲渡及び賃借権の譲渡又は転貸を受ける旨の申立てをしたときは、裁判所は、同項の規定にかかわらず、相当の対価及び転貸の条件を定めて、これを命ずることができる。この裁判においては、当事者双方に対し、その義務を同時に履行すべきことを命ずることができる。」に記載されている通りで、裁判所は地主が介入権を行使した場合、借地権の買い取り金額を定めて提示します。

 

その買い取り金額は、地主と借地権者双方の意見を聞いた上で、裁判所が指名した鑑定委員(不動産鑑定士、弁護士、有識者等)が定め、鑑定意見書に記載されます。また、地主が借地権を買う場合には、譲渡承諾料に相当する金額(借地権価格の10%程度)を借地権価格から差し引いた金額となることが一般的です。

 

仮に、鑑定意見書に記載された借地権の購入金額が地主の想定した金額よりも高かった場合は、裁判所が決定を下す前であれば介入権を取り下げることができます。

 

借地権者が提示する借地権の買い取り金額が地主が把握している相場より高く、話し合いで折り合いがつかない場合は、借地非訟になることを待った上で介入権を行使することも検討すべきでしょう。対して借地権を買いたくない場合は、第三者に譲渡されるリスクを受け入れる必要があります。

 

以上が、借地権者から借地権を買い取ってほしいと言われた場合にお伝えしたアドバイスでした。

参考になれば幸いです。

 

 

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