【事例】借地上の建物が焼失したら、借地権は終了するか?

借地権者からのご相談

「借地上の所有建物が焼失してしまったとき、借地権は終了しますか?

 また、このとき自身の借地権を守るためにしなければならない手続き等はありますか?」

 

これは、借地権者の方からの質問でした。「隣家が火事で全焼してしまった。自宅は延焼を免れたが、もし私の所有する建物が全焼してしまったら、その段階で私の借地権は消滅してしまうのでしょうか?」とのことでした。この方は1988(昭和63)年に借地権土地付建売住宅を購入されたとのことでした。つまり、この方の借地権には旧借地法が適用されています。また、「全焼してしまったら・・・」ということだったので、建物が滅失したと仮定してお答えしました。

 

それでは結論からお伝えしてまいります。

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.旧借地法第7条によれば、借地期間中に建物が滅失しても借地権は消滅

   しません。

2.地主が再建築について速やかに異議を述べた場合と述べない場合で、

   その後の借地期間が変わります。

3.1992(平成4)年8月1日以降に締結された借地契約の場合には

 (新)借地借家法が適用されますが、同じく借地権は消滅しません。

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目に補足する形で説明してまいります。

 

解説「1. 旧借地法第7条によれば、借地期間中に建物が滅失しても借地権は消滅することはありません。」

不幸にしてご自宅が焼失してしまった場合でも、借地権者としては建物を再度建築したいと考えると思います。このとき、まずは地主:賃貸人に建物を再築する旨を確実に通知しましょう。そして、この通知に対して賃貸人が異議を述べるか否かによって、その後の借地期間が変わってくるのです。

 

解説「2. 地主:賃貸人が再建築について速やかに異議を述べた場合と述べない場合で、その後の借地期間が変わります。」

①地主:賃貸人が異議を述べない場合

 借地契約の残存期間を超える建物を再築した場合、賃貸人が直ちに異議を

 述べない限り、建物滅失の日から起算して、堅固建物は30年、非堅固建物は

 20年の新たな借地期間が認められることになります。

 

②地主:賃貸人が異議を述べた場合

 この場合は①のような契約期間の延長は認められませんが、直ちに契約が終了

 するわけではありません。つまり、当初の借地契約期間の終了時に契約更新の

 可否が判断されることになります。このとき賃貸人が再築に関して異議を述べ

 たことは、正当事由の有無の判断材料にはなりますが、直ちにこれが契約終了

 の正当事由として認められるわけではありません。

 

解説「3. 1992(平成4)年8月1日以降に締結された借地契約の場合には(新)借地借家法が適用されますが、同じく借地権は消滅しません。」

借地借家法では、滅失後における建物の再築の要件に関し、以下の2つの時期に応じて異なる規定を定めています。

①借地権設定当初の存続期間内の再築

②借地期間を1回更新した後の再築

 

①借地権設定当初の存続期間内における建物滅失と再築について

 1)地主:賃貸人の承諾

  借地借家法では契約期間の延長の延長には賃貸人の承諾が必要となります。

  賃貸人の承諾がない場合、賃借人が再築の通知をしたとしても、賃貸人が

  異議を述べると当初の契約期間の延長はありません。

 

 2)契約の延長期間

  賃貸人の承諾がある場合、借地権は承諾があった日または再築日のいずれか

  早い日から起算して原則として20年間存続します(借地借家法7条1項)。

  この期間は一律で堅固建物、非堅固建物の区別はありません。

  ただし、当事者間でこれより長い期間を定めたときはその期間になります。

 3)みなしの承諾

  賃借人が賃貸人に対し、残存期間を超える建物を再築する旨を通知したにも

  かかわらず、賃貸人が2か月以内に異議を述べなければ、再築を承諾した

  ものとみなされます(借地借家法7条2項)。この場合には通知をして2か月

  を経過したときが承諾の日となります。

②借地期間を1回更新した後の建物の滅失と再築について

 1)賃借人の契約解約の申し入れ

  1回目の更新後に建物が滅失した場合、賃借人から借地契約の解約の申し入

  れをすることができます(借地借家法8条1項)。

  例えば、こののち多額の建築費をかけて再築するよりも、費用対効果の観点

  から、今後の地代の支払い義務をなくした方が良いと賃借人が判断すれば、

  建物が滅失した時点で契約の解約を申し入れる場合が考えられます。

  この場合には、解約申し入れの3か月後に借地権は消滅することに

  なります(借地借家法8条3項)。

 

 2)残存期間を超える建物の再築

  賃貸人の承諾が必要となります。

  賃貸人の承諾を得て、建物が再築された場合、最初の存続期間中における

  建物の滅失と再築の場合と同じく、借地権は原則として20年間存続します。

 

 3)賃貸人の承諾がない再築

  賃貸人の承諾がないにもかかわらず、賃借人が建物を再築した場合、賃貸人

  は借地契約を解除する旨を申し入れることができます

  (借地借家法8条2項)。

  この場合には、賃貸人が契約の解約申し入れの意志表示をしたときから

  3か月後に借地契約は終了します(借地借家法13条1項)。

 

 4)裁判所の代諾許可

  賃借人にはこの土地に建物を再築するしかないというやむを得ない事情が

  あるかもしれません。それでも、賃貸人が再築を承諾しない場合には、

  賃借人は裁判所に「賃貸人の承諾に代わる許可」を求める申立てをすること

  ができます(借地借家法18条1項)。

  裁判所から必ず許可が得られるとは限りませんが、借地契約の残存期間を

  超える建物が再築されることについて、やむを得ないのかを考慮して判断

  されます。考慮事項としては、建物の状況、建物の滅失の原因、賃貸人と

  賃借人のいずれが土地を使用する必要性が高いかなどが挙げられるでしょう

  (借地借家法18条2項)。

 

以上、ケース・バイ・ケースということもありますが、基本的原則を書かせて

いただきました。火災以外に地震等の災害でも建物滅失という事態は起こり

ます。また、滅失と間違えやすい朽廃という状態もあります。

ご相談はご遠慮なくお寄せください。

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