【事例】借地上の建物を第三者に賃貸してもよいか?よい場合、地主の承諾を得る必要があるか?

借地権者からのご相談

 

「親の旧法借地権付建物を相続しました。自分は既に別の場所で土地建物を所有しているのでこの相続物件に居住する必要はありません。でも、まだ建物もきれいなので、できるなら第三者に貸そうと考えましたが可能でしょうか?また、その場合に地主の許可は必要ですか?」

 

既に持ち家に住んでいる相続人が親の住居を相続したとき、さてどうしようと困ってしまうというお話しをよく聞きますね。その不動産を保有し続けようと決心したときに思いつく利用方法の一つが、この「建物を第三者に賃貸しよう」という方法です。

今回のご相談の土地は旧法借地権であり、その借地の上に建物が存在しているので、建物を借りる人は実質的に土地も借りている(転借している)ことになるのでは?という疑問も持たれていました。

 

それでは結論からお伝えしてまいります。

一度登場人物を整理しておきます。

*地  主=土地所有者=土地賃貸人

*借地権者=建物所有者=土地賃借人(この事例の相談者)

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.借地上の建物を第三者に賃貸するのは、建物所有者の自由です。

 この場合、地主(土地所有者)の承諾を得る必要はありません。

2.地主は建物所有者が建物を第三者に賃貸することを拒否することは

 できません。

3.建物賃貸禁止特約等はありませんか?必ず土地賃貸借契約書を確認

 しましょう。

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目に補足する形で説明してまいります。

解説「1. 借地上の建物を第三者に賃貸するのは、建物所有者の自由です。この場合、地主(土地所有者)の承諾を得る必要はありません。」

これは、『建物所有を目的とする土地賃貸借契約(借地契約)において、借地人は自己所有の建物を地主の承諾を得ないで第三者に賃貸したとしても、借地の無断転貸として地主が土地賃貸借契約(借地契約)を解除することは出来ないと解される(要旨)』とした判例「大審院昭和8年12月11日」によります。

日本の民法では土地と建物は別個の不動産です。この事例の場合、借地権者は土地賃貸借契約(借地契約)で建物所有を目的に土地を借りていますが、その建物を第三者に賃貸することは建物所有者として自由です。また、それによって収益を上げることは土地賃貸借契約(借地契約)の主旨に反することではないので、借地の転貸にもならないということです。借地人が地主から賃借しているのは土地だけなので、建物を賃貸することについては地主の承諾は不要なのです。

解説「2. 地主は建物所有者が建物を第三者に賃貸することを拒否することはできません。

地主としては貸した土地上の建物を第三者に貸されてしまうと、直接契約もしていない第三者に地震の土地を使われてしまうことになります。このときでも、地主は土地賃借人に対して第三者への建物賃貸を拒絶したり、土地賃貸借契約(借地契約)を解除することはできません。

これは、建物所有者がその建物を賃貸すること自体が所有権の行使といえ、民法第206条の『所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。』という規定によります。

 

解説「3. 建物賃貸禁止特約等はありませんか?必ず土地賃貸借契約書を確認しましょう。」

借地の相続をされたら(もちろんできたら被相続人の元気なうちに)土地賃貸借契約書(借地契約書)を見てみましょう。もし『土地上の土地賃借人所有の建物は第三者に賃貸することは出来ない』等といった特約がついていたら、その特約を遵守しなければならないのでしょうか?

このような特約を結ぶことは契約自由の原則からして問題ありません。この建物賃貸禁止特約を締結するに十分に合理的な理由があると判断されれば、この特約は有効と考えられます。この場合、地主は土地賃貸借契約(借地契約)を解除できる可能性があります。

しかしながら、この建物賃貸禁止特約に反して借地人(建物所有者)が建物を第三者に賃貸したとしても、地主に著しい不利益があるとは認められず、借地契約が解除されるとかえって借地人側に不利益がある場合には、特約の合理性が認められないので借地契約を解除できないと解されます。

このように、判断はケースバイケースといえますので、結果を決めつけたりせず、遠慮なくご相談ください。まずは土地賃貸借契約書の確認から始めてみましょう。

 

なお、冒頭で、相続した不動産の処分について、「④地主に買い取ってもらう」と書きましたが、地域によって借地権売買が一般的なところとそうでないところがあります。借地権売買が一般的でない地域では、単純に地主から「貸した土地が要らないなら返してよ・・・。」ということで終わってしまうでしょう。

地域によって商慣習も違いますし、地理的に近い場所であっても事案によって少しずつ条件が違ったりして、正解は一つということの方が少ないと思います。こちらもケースバイケースといえますので、ご遠慮なく相談ください。

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