【事例】更地にする必要性

 

借地権者からのご相談

「借地権で借りている土地を返還する場合、更地にしないといけないのでしょうか。」

 

この質問も度々いただくことがあります。

借地権者が賃貸借契約の終了を考えた際に、費用負担が発生するかどうかについて心配するのも当然だと思います。

 

借地権問題ドットコムとして、回答させていただきます。

 

まずは結論からお伝えして参ります。

 

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.賃貸借契約書では、更地返しになっている場合が多い

2.しかしながら、借地権者には建物買取請求権があるので、更地にしなくていい場合がある

3.借地権を第三者に売却するか、地主に買い取ってもらう可能性も残っている

4.市場価値の極めて低い借地に関しては、更地にして返還することになる可能性が高い

 

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目を説明して参ります。

 

 

解説「1.賃貸借契約書では、更地返しになっている場合が多い」

 

借地権も当然土地の賃貸借契約ですので、双方の取り決めの内容を契約書で残しているのが一般的です。

ですので、まず賃貸借契約書を確認してみてください。契約書内に該当する条文や特約事項はありますでしょうか。

 

一般的には、「契約終了時には更地にして返還する」という記述が土地賃貸借契約書に記載されているかと思います。


その概念は民法に準拠していて、民法第598条(借主による収去)で「借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。」と定められています。(ただし、第598条は使用貸借についての条文であるため、別途民法第616条(使用貸借の規定の準用)で「(前略)第五百九十八条の規定は、賃貸借について準用する。」と補足されています。)

少し横道にそれますが、前述した現行の民法の規定では、収去権を認める記述があるだけで収去義務(原状回復義務)の記述は見当たりません。

そこで、2020年4月1日から施行される改正民法では、改正民法第599条(借主による収去等)第1項で「借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物がある場合において、使用貸借が終了したときは、その附属させた物を収去する義務を負う。ただし、借用物から分離することができない物又は分離するのに過分の費用を要する物については、この限りでない。」という条文と、改正民法第622条(使用貸借の規定の準用)「第五百九十九条第一項(中略)の規定は、賃貸借について準用する。」が追加される予定です。(2019年4月25日時点)

話を戻しますと、一般的に使用される契約フォーマット上、更地にして返還すると取り決めをしているケースが多いということです。

 

 

解説「2.しかしながら、借地権者には建物買取請求権があるので、更地にしなくていい場合がある」

 

前述の1は原則ですが、必ずしも更地にして返還する必要があるとは限りません。

その根拠は、旧借地法第4条「(前略)借地権者ハ契約ノ更新ナキ場合ニ於テハ時価ヲ以テ建物其ノ他借地権者カ権原ニ因リテ土地ニ附属セシメタル物ヲ買取ルヘキコトヲ請求スルコトヲ得」に由来します。

これは建物買取請求権という借地権者にとって強い権利で、借地権者が買取請求の意思表示をした時点で(地主の意思にかかわらず)売買契約が成立したとみなされます(形成権)。

ただし、この建物買取請求権は合意解約の場合は認められないという判例(大判昭和14年2月6日新聞4386号16頁、最判昭和29年6月11日判タ41号31頁)が過去に出ているので、地主が契約更新をしない場合の切り札と捉えておくのがいいでしょう。当然、契約違反等で解除になった場合は適用されませんのでご注意ください。

また、この買取請求の対象は借地権ではなく建物本体になります。建物価格は時価で計算し、減価償却するため残存価値が多く残っているとは限りませんが、解体して更地にする費用を掛けることを考えれば有用な選択肢だと言えるでしょう。

 

 

解説「3.借地権を第三者に売却するか、地主に買い取ってもらう可能性も残っている」

 

また、地主または第三者が借地権を買い取ってくれる場合も、更地返しにする必要はありません。

借地を地主が買い戻してくれれば問題解決となりますが、地主が購入しない場合は第三者に売却を検討することになります。

第三者に売却する場合は、必ず地主に承諾を得る必要がある(ただし、借地権が地上権である場合はその限りではありません)ことは覚えておく必要があります。

地主が借地権を購入しない上に譲渡の承諾もしないという場合は、裁判所へ借地非訟の手続きをして、地主に代わり裁判所から譲渡の承諾を得ることもできます(旧借地法9条2項)。これは手間も時間も掛かるので、最後の手段と言えるでしょう。

 

 

解説「4.市場価値の極めて低い借地に関しては、更地にして返還することになる可能性が高い」

 

上記3で、借地を地主か第三者が買い取ってくれればいいのですが、市場価値が低く誰も購入しない場合はどうなるのでしょうか。

その場合は、残念ながら借地の賃貸借契約を地主と合意解約し、更地にして返還することになります。

当初の契約内容の通り、建物の解体費用は借地権者が負担をし、土地を原状に回復し地主へ返還します。

このケースは、借地権の契約期間が満了し、地主は更新を承諾するものの借地権者は合意解約を希望している、且つ誰も当該借地権を購入する希望者が現れない場合が想定されます。

上記のケースが想定される場合は、予め解体等の原状回復費用を将来に向け積み立てておく必要があります。

 

以上が、借地を更地で返還する必要があるかというご相談の紹介でした。
参考になれば幸いです。

 

 

 

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