【事例】借地権者が地主に譲渡承諾を貰おうとしたら、相続で複数人になっていた!

 

 借地権者からのご相談

 

「このたび、東京都T区で親の住んでいた中古の木造一戸建とその敷地の借地を相続しました。私の単独相続です。ただ、私は千葉県内で既にマンションを所有して住んでいるので、この借地と建物は不要です。ついては、第三者に売却したいと考えています。」

 

借地権者Aさんから相談を受けた私たちは、「まずは地主に借地権の譲渡承諾をもらうこと」が必要と考え、地主に接触を試みました。ところが借地権者から聞いた地主に面会したところ、その方は貸地の共有者の一人だというのです。地主との交渉の前に関係書類の調査から入ることになりました。

【登場人物は下記の通り】

 ・相談者は

   借地権者Aさん

 ・登記事項証明書の記載から土地共有者(地主)は

   地主Bさん(持分4/12)(故人)

   地主Cさん(持分2/12)(Bさんの子)

   地主Dさん(持分2/12)(Bさんの子)

   地主Eさん(持分2/12)(Bさんの子)

   地主Fさん(持分2/12)(Bさんの子)

 ・土地賃貸借契約書(1975年更新)の記載から貸主(地主)は

   貸主(地主)Bさん(ただし1955年の契約書では地主はBさんの

             夫Gさん・故人)

 それでは今回の事例についてその手順を追ってお伝えしてまいります。

 

【借地権問題ドットコムの回答】

 1.借地契約書と土地登記事項証明書等の関係書類を集め、借地契約の内容を確認します。

 2.交渉の相手方である地主に面会し、当該土地の状況について聞き取り調査を実施します。

 3.双方の事情を勘案しながら交渉を進め、問題解決を図ります。

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただき調査を

はじめました。

以下、各項目に補足する形で説明してまいります。

 

 

解説「1. 借地契約書と土地登記事項証明書等の関係書類を集め、借地契約の内容を確認します。」

土地賃貸借契約書は借地権者Aさんの手元に2通ありました。1955年と1975年作成のものです。借地権者Aさんの父がそもそもいつからこの土地を賃借しているかは今のところ不明です。建物の登記がされていないなど建物の資料がないためです。1955年の契約書作成から20年後の1975年に更新契約をしていますが、1955年の契約書では貸主がBの夫で、存続期間の記載も更新契約である旨の記載もされていないのです。1955年開始の賃貸借契約かもしれないし、1955年の段階で更新契約だったかもしれないという状況でした。そして、1975年作成の契約書では貸主がBさん(故人)となっており、その後40数年の間は法定更新状態なのか他には契約書は見つからないとのことだったのです。

 

一方、土地登記事項証明書では、この土地は1960年に所有権の相続登記がなされたのが最後の記載でした。このとき上記の通り、Bさん(持分4/12・契約書上の地主・故人)とBさんの子Cさん・Dさん・Eさん・Fさん(持分各2/12)の計5名が相続によって所有権を共有したとの記載があります。

 

また、借地権者Aさんは父からこの土地のすぐそばに住む地主Fさん宅に、半年に一度賃料を支払いに行っていたことを聞いており、私たちは借地権者Aさんから地主はFさんだとお聞きしていました。

 

解説「2. 交渉の相手方である地主に面会し、当該土地の状況について聞き取り調査を実施します。」

 

私たちは早速、地主Fを訪ね、この土地や土地賃貸借契約の状況等についてお聞きしました。すると下記のことお話ししてくれました。

1)地主Bさんは1980年に亡くなっていること。

2)Bさんの遺産は預貯金とこの土地であること。

3)Bさんの子Cさん・Dさん・Eさん・Fさんは70~80代の4人姉妹だが、

  FさんはEさんとはよく会うもののCさん・Dさんとは疎遠になっている

  こと。

4)できればFは他の相続人から持分を譲ってもらって、この土地を単独で

  所有したいと思っていること。

ここまでのところで、現在の地主はFさんだけではなく、Cさん・Dさん

・Eさん・Fさんの4名だということがわかりました。

父から借地権を相続したばかりのため詳しい事情を知らない借地権者Aさんは、父が地代を持参払いしていた相手方のFさんだけが地主だと思っていたのです。Fさんはこの土地のそばに住んでいるので、借地権者Aさんの父から、共有者を代表して賃料を受け取っていただけだったのです。

 

解説「3. 双方の事情を勘案しながら交渉を進め、問題解決を図ります。」

 

まず、借地権者Aさんには、建物の登記をするようにアドバイスをしました。現在のところ建物は未登記なので、建物表題登記、所有権の保存登記と進めることになります。建物の登記があれば借地権の対抗要件になりますし、借地権・建物の売却にもスムーズに進めます。

次に借地権者Aさんが地主から借地権の譲渡承諾を得る件についてです。

地主が貸地を単独所有しているならその人から承諾を得ればよいでしょう。しかし、今回の場合には、地主が4人(死亡したBさんを除く)いて共有状態だというのです。共有土地上に存する借地権の譲渡承諾を借地権者者に与えるのは、共有物の管理に当たると考えられます。

そして、共有物の管理については民法252条に規定があります。

 『第252条

   共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の

   価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者が

   することができる。』

つまり、持分の過半数を超えるだけ地主の許可を得ればよいことになります。

 

しかし、ここで問題が生じました。今、承諾に応じるのはEさん・Fさんで持分は2/12ずつの計4/12。死亡したBさんの持分4/12をCさん・Dさん・Eさん・Fさんで均等に分けると1/12ずつなので、Eさん・F さんの分を上記に足すと6/12。これでは過半ではなくちょうど半分にしかなりません。いずれにしろ、Cさん・Dさん・Eさん・F さんで協議の上、Bさんの遺産を分割・登記してもらわねばなりません。

 

以上のことから、土地家屋調査士(建物表題登記)、司法書士(建物保存登記・土地相続登記)に登記を依頼しつつ、弁護士を交えての協議に入りました。

 

上記のような調査の結果、今回のケースは、

1)「借地権者が相続した建物が未登記建物だった」

2)土地賃貸借契約書上の貸主(地主)は40年近く前に亡くなっていた。

3)土地賃貸借契約自体が、相続人同志の賃料の授受はありつつ40年近く法定更新状態だった。

4)相続のために地主が複数になり、その土地共有者同士でも連絡が取りづらくなった。

5)地主が複数になったため、借地権者が借地権譲渡承諾を貰う場合、共有持分の過半数を確保することが必要になった。

 

というような状況だということがわかりました。

今、一つ一つ解決に向けて対応しています。

 

借地権ばかりでなく不動産に絡む問題はケースバイケースなので、何か不明な点にお気づきになりましたら早めにご相談いただけると幸いです。

調査の段階からお手伝いをさせていただきます。

 

 

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