【事例】借地権付アパートを買うときの注意点
「土地が借地権の一棟アパートを購入される方のために、そのチェックポイントを挙げてみます」
アパート経営に興味を持つ方が多くなりました。利回りが高い売アパートの中には、土地が借地権の物件もよく見受けられます。ここでは、皆様にあまりなじみのない借地権付アパートを購入するときのチェックポイントを挙げてみます。
【借地権アパートを買うときのチェックポイント】
以下、各項目ごとに説明してまいります。
解説「1. 土地については借地権の内容をよく確認しましょう。」
1)諸条件によって違いはありますが、一般的に言って借地権価格は所有権価格の50~70%くらいと考えられます。価格の比較だけなら圧倒的に借地権の方が安いです。ただし、借地権譲渡の際には、だれが負担するかは別にして、地主に譲渡承諾料を支払う等、他の費用がかかることも考慮に入れなければなりませんので、それらの借地権売買の条件とともに、しっかりと土地賃貸借契約の内容の方も確認しましょう。
2)借地の範囲を確認しましょう。できれば借地は分筆されていて、地積測量図があり、現地で境界杭があり、借地面積が測量図と契約書で同一であればよいです。すべてが満たされていないこともありますが、借地のトラブルはこれらが原因であることが多いです。その土地ごとに置かれた条件は違いますから、将来の売却のことも考え、くれぐれも慎重に調査・判断しましょう。
3)敷地に建物を建てる場合には、接道条件等の建築条件を満たしていなければなりません。それらを定めた建築基準法をはじめとした各種法令をクリアした土地(建物もですが)かを確認しましょう。まれに建物建築時と現在の法規制が変わっていて、建て替えの際には同規模の建物が建てられない場合もあるので要注意です。
4)アパートの基本条件ですが立地も大事です。アパートの間取等を見ながら、将来の需要も見据えて判断しましょう。
*土地については、その土地ごとに条件が違いますから調査はプロに任せるのが一番です。そうは言っても何かのヒントになるように、下記にチェックポイントを挙げてみました。これらに気を付けて土地を見ていくと、借地の善し悪しを判断するヒントが発見できるかもしれません。とにかく発見した疑問点は一つずつ解決していきましょう。
【借地と借地権に関するチェックポイント】
・土地の形、道路間口の寸法、面積の確認
・借地は1筆か?地積測量図はあるか?契約書類の土地面積の根拠は?
・借地に境界杭はあるか?
・接道は公道か私道か?道路幅員は(1cm単位で)?
・借地権の種類、残存期間、月額賃料等の確認
・建替承諾料、譲渡承諾料の有無・金額等の確認
・地主と賃料振込先名義、土地登記事項証明書の所有者は同一か?
・登記事項証明書により差押登記、抵当権設定登記の有無等の確認
・その他・・・
1)まずは自分の目で建物を見ることです。外観はもちろん、空室があれば室内も必ず入って確認しましょう。管理の善し悪しや劣化状態が多少なりともわかるはずです。
2)できる範囲で設計図書や建築確認済証や検査済証を見させてもらいましょう。遅くとも売買契約前の重要事項説明時には写しをもらえるはずです。
3)修繕履歴一覧を貰いましょう。築年数にもよりますが、エアコン・給湯器等の設備や給排水管、鉄部等、最近修繕をしているのかどうかで、購入後の修繕工事費負担が大きく変わってきます。
*建物についても、簡単にチェックポイントを挙げてみます。
【借地上のアパートに関するチェックポイント】
・建物関係書類で構造、築年数、修繕履歴等を確認
・資料で調査したことを現地で確認
・建物基礎等コンクリート部分にクラックや剥がれはないか?
・鉄部にさびはないか?
・受水槽・ゴミ置き場等、建物まわりの管理状態の確認
・気づいた疑問点等のヒアリング
1)レントロール表を入手して、各部屋の賃貸条件や入居状況を確認しましょう。周辺相場等と比べて、妥当な賃貸条件かどうかを調査することも大切です。
2)購入検討が終盤になってきたら、各入居者の賃貸借契約書類を一通り見せてもらって、属性を確認しておきましょう。
3)せっかく良い借地権アパートを購入しても、入居者の方が賃料滞納事故等をおこしてしまっては意味がありません。制約が色々とあるかもしれませんが、なるべく売主側から教えてもらうようにしましょう。
借地権のアパートに限らず、アパート経営では「土地」「建物」「管理関係」「入居者」がそれぞれきちんとして一つの資産となります。購入の際にはひとつひとつ丁寧に調べましょう。
また、物件購入時に金融機関からの融資を利用される際には、まずは「借地権」であることを告げた上で金融機関に相談をしてみましょう。手続きや必要書類、融資額等、所有権の物件とは条件が異なりますので注意してください。