【事例】借地権付アパートのメリットとデメリットとは?
「土地が借地権の一棟アパートの購入検討をされる方のために、そのメリットとデメリットを挙げてみます」
昨今はアパート経営をされる方も増えてきているようです。
土地が所有権であるアパートと、土地が借地権であるアパートの二つが同条件であると仮定して、それぞれを比較して説明いたします。
【借地権アパートのメリット】
2.税金について、取得時と保有時の土地に関する諸税がかからない、または安くなる。
【借地権アパートのデメリット】
2.保有期間を通じて、土地については地代がかかり、更新時には更新料がかかることが多い。また、この費用は将来値上がりをする可能性がある。
3.増改築や売却の際には地主に承諾料を支払わなければならない。
以下、各項目ごとに説明してまいります。
【借地権アパートのメリット】
解説「1. 土地について、所有権価格より借地権価格の方が安い。」
諸条件によって違いはありますが、一般的に言って借地権価格は所有権価格の50~70%くらいと考えられます。価格の比較だけなら圧倒的に借地権の方が安いです。ただし、借地権譲渡の際には、売主・買主いずれが負担するかは別にして、地主に譲渡承諾料を支払う等、他の費用が かかることも考慮に入れなければなりませんので、しっかりと賃貸借契約の内容を確認しましょう。
解説「2. 税金について、取得時と保有時の土地に関する諸税がかからない、または安くなる。」
土地は取得ではなく借りるので、所有権移転の登録免許税や不動産取得税の対象外です。また、土地については保有しているわけではないので固定資産税や都市計画税も当然かかりません。購入資金を借りた場合に、建物に抵当権を設定をする場合には、その登録免許税がかかります。
【借地権アパートのデメリット】
借地権物件には融資をしないという金融機関も多いです。借地権の場合には、所有権土地のように銀行が土地に抵当権をつけることができません。土地は地主のものだからです。また、建物は借地権者の所有ですから、銀行が建物に抵当権をつけることはできますが、そもそもその建物は借地の上に建っているものですから、やはり銀行の評価が低いのです。
融資可能な金融機関も、地主からの承諾書の提出を求めたり、融資額が制限される等、所有権物件に比べると融資のハードルが高いようです。
借地権アパートを購入検討する際には、事前に借地権の物件にも融資をしてくれる金融機関にあたりをつけておくのがよいかもしれません。
解説「2. 保有期間を通じて、土地については地代がかかり、更新時には更新料がかかることが多い。また、この費用は将来値上がりをする可能性がある。」
借地の場合には、当然ながら地代がかかります。固定資産税・都市計画税の数倍の金額というのが一般的でしょうか?また、関東地方ではよく見受けられますが、更新契約の際には更新料を地主に支払うという契約になっている場合があります。賃貸借契約書を見させてもらって、契約条項を確認しましょう。更新料支払いの規定があればそれに従う必要があります。また、明文の規定がなくとも過去に旧借地権者が更新料を払っていたということもあるかもしれません。その場合には、あなたも更新料を支払わなければならない可能性が高いでしょう。
解説「3. 増改築や売却の際には地主に承諾料を支払わなければならない。」
承諾料の関係も更新料と同じく賃貸借契約書で契約条項を確認しましょう。おそらく規定があると思われますので将来のためにもしっかりと確認しておきましょう。承諾料も明文の規定がなくとも支払いを要求されることが多いと思いますので、規定がない場合には明文化しておくことも大切です。
借地権の物件についてはまだ不慣れな方が多いので、敬遠されることもままあります。上記のように所有権土地の場合にはない出費についても検討しなければならないこともあり、どうしても流動性が劣る傾向があります。
購入する場合には、地主との土地賃貸借契約書を熟読して、まずはその契約内容の把握に努めましょう。
大まかには借地権付一棟アパートには所有権土地のアパートと比較して、上記のようなメリット・デメリットがあると考えられます。
土地については借地権は所有権の50~70%くらいの価格に収まることが多いでしょうし、地代にしても土地所有者に課税される固都税額の1/2~1/3等と、やはりコスト的には借地権の方が安く抑えられます。その分、借地権付一棟アパートの利回りは高くなります。
一棟アパートの売物件を探していて借地権の物件を見つけたら、じっくりと検討してみることをお勧めします。