【事例】借地上の一戸建をアパートに建て替えるときの注意点

借地権者からのご相談

 

「現在、一戸建に住んでいますが土地は旧法の借地権です。親から相続しているので建物が古くなりマンションへの住み替えを考えています。ただ、借地も市街地で面積も広いので、このまま借り続けアパートに建て替えたいと思います。どのような準備が必要ですか?」

 

テレビでも頻繁にCMが流れ、副収入や副業の話題をよく目にしますので、アパート経営に関心を持っている人も多いようです。新築アパートを購入するということは土地と建物を同時に購入するということで、その資金も多額になります。しかし、元々持っている土地上にアパートを建てたり、所有権よりは格段に価格の安い借地上にアパートを建てたりするのであれば、新たに土地・建物を購入するよりは土地代の部分で大幅に投下資金を削減することができ、そのぶん利回りを上げることができます。

以下では、借地上にアパートを建設するパターンのアパート経営について、いくつかの注意事項を列記します。

 

【借地権問題ドットコムの回答】

1.まずは土地賃貸借契約書を確認しましょう。

 地主から諸々の承諾を得る必要があります。

2.建設業者と金融機関に打診をしておきましょう。

3.地主との良好な関係を続けるためにも、法的に必要がなくても変更事項は

 報告して承諾を得るようにしましょう。

 

借地権問題ドットコムでは、上記のように回答させていただきました。

以下、各項目に補足する形で説明してまいります。

 

解説「1. まずは土地賃貸借契約書を確認しましょう。

    地主から諸々の承諾を得る必要があります。」

旧借地法上は、基本的に建て替えに際しては、借地人は地主の承諾を得る必要がありません。しかしながら、土地賃貸借契約書に「建て替え禁止」や「増改築禁止」の特約があれば、地主の承諾を得なければなりません。

また、建物の構造や用途について記載されていれば、その内容と違う建物を新たに建てようとする場合には、協議の上、地主の承諾を受けなければなりません。契約書に「地主に承諾料を支払う」という規定があればその支払いが必要となりますし、規定がなくとも協議の中で承諾料支払いが条件に挙がるかもしれません。

なお、アパート建設後の地代等についても忘れずに協議しましょう。借地人が自宅用の建物からアパートへ建て替えをするとなると、地主としては『収益を生む建物を建てることを承諾したのだから、地代を値上げさせてもらおう』と考えたとしても不思議ではありません。

 

解説「2. 建設業者と金融機関に打診をしておきましょう。」

借地上にアパートを建設してくれる建設会社を探しましょう。建設会社は発注者の所有地に建物を建設するのが基本なので、今回のように借地上にアパートを建設するという場合には、土地所有者である地主の承諾を要したり、書類の提出を求められたりすることもあります。建設会社によっては借地上に建設する工事はできないと断られることもあるかもしれません。

建設資金を融資で賄いたい場合には、借地上にアパートを建設する資金を調達する金融機関を探しましょう。こちらも地主の承諾や書類提出を求められます。底地に抵当権をつけるよう要請されたり、金融機関によっては、融資不可と言われたりすることもあるかもしれません。

また、金融機関についてはアパート建設会社から紹介してもらうことも有力な手段です。公的な融資制度が使える可能性もありますので相談してみましょう。

なお、融資条件等の関係から、借地人以外の名義の借り入れを検討する場合には、慎重な判断が必要です。例えば借地人である親とその子が連名で融資を受けると建物名義も親子共有になるわけですが、子は借地人ではないわけですから、事前に地主に承諾を得る必要があるわけです。 

 

解説「3. 地主との良好な関係を続けるためにも、法的に必要がなくても変更になる事項は事前に報告して承諾を得るようにしましょう。」

 

地主との土地賃貸借契約は数十年にわたる非常に期間の長い契約です。日頃からしっかりとコミュニケーションをとって、円満な関係を保ちましょう。

実務的にも借地人の建物建設の際、金融機関融資を利用しようとすると、金融機関から「土地上の建物に抵当権をつけることについての地主の承諾書」の提出を求められると思います。地主との関係が悪いとこの承諾を得られず、その結果、借地人が融資を利用できないという事態になったりしますので、極力良い関係を保ちましょう。

 

以上3点を挙げさせていただきましたが、それ以前に重要なことがあります。それは、建て替えようとしているその借地のエリアでの賃貸需要の見極めと、アパートの企画です。土地の大きさ、道路付け、建築に関する法規制等によって、戸数や間取りも変わってきますから、いろいろな視点からの専門的な検証が必要となります。

私たちはアパート、マンションへの建て替えについてシミュレーションの実施や、借地権上のアパート・マンションに強い建設会社、金融機関をご紹介できますので、ご検討のかたはお気軽にご相談ください。

 

 

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